Future Leaders
大学を卒業後、2002年に食品卸売大手の国分株式会社に入社。2005年に株式会社ニッカネに入社。その後、倉庫業務、配送業務を経て、東京営業所の所長、取締役部長、取締役副社長を務め2013年に代表取締役社長に就任。現在に至る。
株式会社ニッカネは、病院・福祉施設向けの治療食・介護食から学校・事業所給食、多様なニーズのある外食産業に至るまで、あらゆる業務用食品を専門とする卸商社だ。関東全域、東北全域、長野、静岡を営業展開エリアに、16か所の営業所を広域に展開する。また扱う食材カテゴリーも調味料や冷凍食品だけでなく、豆腐、納豆、パン、介護食、肉、野菜、魚と厨房で利用するものすべてを取り扱っている。これら「広域流通ネットワーク」と「一括物流」によってお客様に必要な物をどのエリアでも届けられる盤石な体制が大きな強みだ。
この巨大食品ネットワークのニッカネは「お客様第一」と、それを支える「チームワーク」を重要視している。「一つ目のお客様第一は、お客様のこんな物があったらいいな。や困っていること、面倒くさいこと、を想定して、どうやったらお客様の為になるかを考える行為そのものになります。これぞ商売であり創業からずっと大切にしていることでもあります。」そう語るのは、ニッカネ創業者を父にもつ2代目社長の金田陽介氏だ。「二つ目のチームワークですが、弊社は営業、事務、配送、商品管理と基本的にすべて自社雇用社員、正社員で対応しております。それが情報共有力につながり、お客様への対応力にもなります。社内のチームワークがよければ、より情報共有とお客様対応力はアップします。」
1975年に創業したニッカネは食品の卸業界としては新参者であったという。昔からの付き合いがないハンデを克服するためにも、創業当時からお客様を第一に、従業員の生活を守るために、と「人」を中心に添えた経営スタイルがあったからこそ事業を拡大してきた。
食品を必ず届けるというニッカネの根幹業務を揺るがす事態が起きた。2011年の東日本大震災だ。「あのとき弊社も仙台、福島、郡山に営業所があり、大きな被害を受けました。すぐに緊急車両交通手形の手配を取得して、宇都宮から毎日東北エリアにお客様の食材、従業員の食事・水、軽油などの燃料を届けました。おかげでお客様には大変喜んでいただきました。」お客様に提供する食材を切らすわけにはいかない。全従業員の総力が結集され、現場で自ら率先してお客様のために動く姿があったからこそ、未曾有の事態を乗り越えられたと語った。「これぞチームワークを大切にしてきたからこそできたことだと思います。」と誇らしさを見ることができた。
「お客様第一とチームワークによる営業力が会社の成長を牽引してきた一方で、次なる会社のステップアップに必要不可欠なシステム導入や業務改善が弱い会社でした。」と金田社長は就任当初の会社を分析した。もちろん今後も営業力を重視する考えに変化はないが、内部体制の充実とどうバランスを取るかが課題だと言う。「営業力、お客様サービスレベルをアップするためにも営業力と内部体制のバランスをつねに心がけています。社内改善とともにお客様サービスレベルアップの追及のためにも不可避な課題なんです。」
具体的な対策は、ゆっくりとしかし着実に進行していた。業務効率化やDX化は魔法のような響きをもって仕事を楽にしてくれるイメージが先行するが、そこまで持っていくには非常に大変なことだと代表は見定めていた。DXにはさまざまな便利そうなツールがあるが、それを活用して効率化まで持っていくにはしっかりとした準備やマスター管理など業務が増える側面がある。しっかりと準備・管理することで、自動化や大きな効率化につなげられるようになる。
ただ、ここで技術の高い人に業務が集中したり、その人しかその仕事がわからないという属人化にならないように、チームとしてスキルアップやフォロー体制をつくらなければならない。そこがチーム力を発揮するところでもあるし、そうならないとDX化は加速していかない。
トップダウンではなく社員にDX化を学び実行させながら業務効率化を図るチーム・ニッカネ。その大本命は倉庫管理だと語る。「やはり卸としては倉庫が肝になります。いかに正確かつスピーディーにピッキングするかは永遠のテーマかもしれませんが、急に全自動化ではなく、10人でやってた仕事を8人でやるとか徐々に進めていきたいと考えています。」昨今の潮流からも人件費の上昇は火を見るより明らかで喫緊の課題だ。企業の生き残りをかけた成長戦略がニッカネでは本格化している。
金田代表は栃木の魅力をこう語る。「新幹線で東京や仙台に行きやすい点、また高速道路も充実しており、どこに行くにも便利な場所です。その上、自然災害も比較的少なく安心感のある土地だと思います。まさに食品卸としては好立地なんです。」
そんな栃木からニッカネは、東日本エリアでナンバーワンを狙うという。2035年に売上500億円という目標を掲げる金田代表。「ニッカネが東日本エリアでしっかりと成長をしていき、お客様に安心で安全な物をより良い流通方法で届けられるようにしたいと思います。そのためには業務の改革、物流の改革を実施して参りたいです。お客様のその先には、食べる方々がおられます。皆さんの食事が楽しい、食べる事が健康につながる。そんなお手伝いをできる企業になりたいと考えています。そのためにも営業力強化・お客様満足度アップを目指し、お客様から信頼されて、ありがとうをいただける会社にすることが、私の役目です。」日本の食生活に欠かせない存在へ、確かな歩みを進めている。