すべてのゴルファーに捧ぐ、天然芝ゴルフ練習場のこだわり

Future Leaders

 
     
 
大竹 智

三和ゴルフ練習場

代表

 

1999年日本大学法学部卒、1999年株式会社サキコーポレーション入社、エレクトロニクス業界の検査ロボットのメーカーとして、国内海外営業、商品開発部を経て、中国市場、北米シリコンバレーに駐在し、中南米ビジネスを長く経験。在職中にビジネスブレークスルー大学経営学科も卒業。北米駐在時は故稲盛和夫氏の私塾盛和塾シリコンバレー塾の事務局長も担当。2020年から栃木に戻り現職で、ゴルフ練習場ビジネスを行う傍ら、個人事業主としてエレクトロニクス業界でも休みなく働きつつ、育児に奮闘する毎日を過ごしている。

栃木ゴルフ文化を支える岩舟町の練習場

三和ゴルフ練習場は、栃木県栃木市岩舟町にあるゴルフ練習場である。160ヤードにわたる天然芝とコンディションの良いレンジボールでより実戦に近い練習が実現できるのが最大の特徴で、県外からも来客があるほどだ。

「プロを育てる練習場」として長年多くのプロゴルファーを送り出す場として機能してきたこの施設は、3年前に大きな変革を迎えた。「より幅広い層にゴルフの楽しさを提供したい」という想いから、最新技術を駆使したトップトレーサー・レンジを導入。打球の軌道や飛距離をリアルタイムで確認できるシステムで、初心者でも楽しみながら技術を向上させることができる。「技術を磨くだけではなく、楽しむこともゴルフの本質です。このシステムがその魅力を伝える手助けになれば嬉しいです」と語るのは、栃木県民の憩いの場であるこの三和ゴルフ練習場を運営管理している大竹代表。初心者、ジュニア、女性ゴルファーといった層にも門戸を広げ、利用者数は飛躍的に増加している。

プロゴルファーを目指す人も、休日にふらりと立ち寄る初心者も、すべてのゴルファーに等しく価値を届ける。それが三和ゴルフ練習場の信条だ。トップトレーサー・レンジや天然芝といったハード面の工夫、早朝営業という時間の価値創出、そして利用者の声を基にした柔軟な運営方針…これらすべてが、この練習場を「ただの練習場」ではなく、「地域とともに成長する場所」にしている。

「栃木県は災害が比較的少なく、気候の安定性も高い。こうした環境は、気象条件に大きく左右されるゴルフ練習場ビジネスにおいて重要な強みです。この地の利を活かしながら、地域全体の発展に貢献することを目指しています。」大竹代表に、事業への思いを伺ってみた。

 

「年中営業がキモ」アメリカで培ってきた経営手法

三和ゴルフ練習場の始まりは1980年代、不動産業を営んでいた創業者が副業としてゴルフ練習場を立ち上げたことに端を発する。当時の日本は高度経済成長期にあり、ゴルフが大きなブームとなっていた。不動産業の浮き沈みを補う安定収益源として、この事業に可能性を見いだしたのだ。

バブル経済が崩壊した後、経営環境は一変する。それでも、創業者の妻が30年にわたり施設の運営を続けたことで、地域に根付く存在となった。2020年、現代表の大竹智氏が事業を承継した。

「当時私はアメリカのシリコンバレーと呼ばれるサンノゼ市に居住しておりましたが、ちょうどコロナが流行しはじめるタイミングということもあり、家族共々栃木に戻ってきた形から、このビジネスに参画することになりました。」と語る大竹氏。これまでの伝統を尊重しつつ、現代に即した経営手法を導入し、ゴルフ練習場の可能性を広げている。

365日年中無休でオープンすることをモットーにしているために、安定したオペレーションができているかどうかがキモとなると明かす代表。2019年のゲリラ豪雨以降、三和ゴルフ練習場は施設全体の点検と補修を徹底的に行い、安全性と快適性を両立する練習環境を維持してきた。また、気象の変化に即座に対応できるよう、最新の気象情報システムを導入。災害時には迅速な対応を可能にする仕組みを構築している。「自然は時に厳しい顔を見せますが、それ以上に豊かな恵みを与えてくれます。私たちのビジネスは、この地で育まれる自然の魅力なしには成り立ちません」と大竹代表は意気込む。

 

あえて貫いている天然芝の存在意義とは

人工芝が主流となりつつある昨今、三和ゴルフ練習場はあえて天然芝へのこだわりを貫いている。その理由は「リアルな練習環境を提供する」という思いだ。天然芝の管理は手間がかかる。除草、芝刈り、肥料やりなど、徹底的なメンテナンスが欠かせない。それでも「40年以上にわたり手入れしてきた芝は、他にはない美しさを持っています」と代表は胸を張る。

芝の様子

ゴルフ練習場は「設備ビジネス」と言われる。ボールを打つための設備が整っていれば最低限の運営は可能だ。しかし、三和ゴルフ練習場は「設備だけでは足りない」と考える。レッスンの質や、利用者同士のコミュニケーション、練習場全体の雰囲気といった「ソフトウェア」こそが、自分たちのビジネスの根本なのだという。「設備は徹底的に美しく、気づいた箇所はすぐに修繕する。そして、利用者の声を拾い上げ、最適な練習環境を提供する。それが私たちの使命です」と大竹代表は語る。

 

「ゴルフ王国」たらしめる栃木となるために

栃木市は、「ゴルフ王国」として全国有数のゴルフ場密集地として知られている。2023年4月時点で栃木県内には約119のゴルフコースが存在し、人口10万人あたりのゴルフ場数では全国1位を誇る。この立地的優位性を最大限に活かし、三和ゴルフ練習場は地域全体のゴルフ文化を支える存在となっている。「ゴルフといえば栃木」と呼ばれるような環境作りを目指していると語る代表。地元の自然や歴史を活かしながら、地域社会に根付いたゴルフ文化を創造し、次世代への架け橋となるべく努力を続けている。

たとえば会社から自分に与えられた仕事を遂行するために、ときにはより深いリレーションシップを先方と育まなければならない。そんなとき、共にゴルフをすることが、最も効果的な方法だったりするんです。

ゴルフは、いうなれば非常に強力なコミュニケーションツールなんです。他のスポーツとは違い、老若男女が18ホール、半日も顔を合わせながらプレイしますから、必然的に距離が縮まるんです。中国やアメリカなどでもゴルフを通じて交流を広めていった私が証明しています。

栃木はゴルフ王国と呼ばれるほど、ゴルフをするには非常に恵まれた環境下にあります。サッカーといえばブラジルや、日本だと静岡が有名ですが、ゴルフといえば栃木と言われるような環境づくりに、多少なりとも貢献したいですね。」

栃木という地に根を張りながら、新たな挑戦を続ける三和ゴルフ練習場。その未来は、「ゴルフの楽しさを次世代に伝える」という理念とともに明るいものとなるだろう。