小山で生まれ続ける「栃木初」― 責任者が語るハーヴェストウォークの確かな可能性

Future Leaders

 
     
 
作元 研一

おやまゆうえんハーヴェストウォーク

統括所長

 

広島大学工学部卒。1994年4月、新卒で大和ハウス工業株式会社に入社。1997年に株式会社サンマルク(当時)に入社、ベーカリーレストラン業態に配属、回転すし業態の立ち上げ、カフェ業態にも関わる。2001年に株式会社ザイマックスに入社。一貫してオフィスリーシング(テナント誘致)に従事。2008年にオーナー代行であるプロパティマネジメント事業に携わる。2013年、大型複合施設MUZA川崎の現地統括責任者を拝命。2018年、九州産交ランドマークに出向、熊本中心市街地にある交通センター(バスターミナル)の再開発に携わり、主にデベロッパーポジションで立ち上げ業務に従事。2021年、おやまゆうえんハーヴェストウォークの現地統括責任者を拝命。現在に至る。

スタバからハロワまで。なんでもそろう商業施設

栃木県小山市に構える大型ショッピングモール・おやまゆうえんハーヴェストウォーク。敷地面積は約11万㎡…東京ドーム2つ分の広さを誇る。2017年10月にリニューアルオープンしており、現在では5つのショッピングエリアと「ウォータープラザ」や「ハーヴェストプラザ」、「メリーゴーランドプラザ」といった多目的な屋外広場を有している。

アパレルショップ、レストラン、クリニック、家電、ホームセンター、スーパーマーケット、ゲームセンターそして映画館など、まさしく「衣・食・住+遊」が揃ったバラエティ豊かな70以上の専門店が展開されており、すべての地域に愛されている商業施設として親しまれている。

おやまゆうえんハーヴェストウォークのプロパティマネジメント(PM、不動産経営の代行業務のこと)の責任者を任されている株式会社ザイマックスの作元所長に、ハーヴェストウォークへの思いとこれからについて話を伺った。

メリーゴーランド

青く泥臭い日々

広島県福山市で育った作元所長は、新卒でハウスメーカーに入社後、外食産業大手に転職。職場のベーカリーレストランでは、始発で出社し終電で帰宅するという地獄のような生活を送っていたという。「おかげさまで、立ってパンをこねながら気絶するという特技が身につきました(笑)」と、作元所長は壮絶な体験を朗らかに語る。

そんな折、大学の同級生の転職先である株式会社ザイマックスが新しく商業施設のマネジメントをおこなうことを耳にする。話を聞くうちに、建設やレストランの運営に携わっていた自身の経験が大きく活きると感じ、なんとザイマックスに転職。入社後に経験したリーシング業務は大変泥臭い日々だったが、顧客である経営者への提案・交渉は今でも刺激的な体験の連続だったと明かす。

また作元所長はこれまで歴任してきたテナントビルの管理責任者として、テナント先がどのように売上が伸びるか、相手先が気づかないような細かな部分まで改善を提案してきたと語る。「まずは一旦、自分たちですべてのお店に入店し、本当の顧客となって実際にお買いものをして回りました。店長やスタッフの方と仲良くなりつつ、後でそのなかで得た気づきを改善案とともに共有するんです。陳列の方針といったある種ささいなことから、ファッションショーといった大掛かりなものまで。たとえ小さなことでも、それは販売者の立場だとなかなか気づかないものだったりするんですよね。もちろん全国チェーンのテナントがほとんどですから、実行可能な改善案には限りがあります。だから日々のコミュニケーションでその限界値をヒアリングし、可能な範囲を実施してきました。」

インタビュー風景

川崎、熊本と比較的都市部の赴任先が続いたのち、作元所長の次の活躍の場となったハーヴェストウォーク。必死に現場で課題と向き合い、解決に向かって走り続けてきた作元所長は、打って変わって小山市ののどかな雰囲気に面食らいつつも、“ふるさとに戻ってくる懐かしさ”に、比べようがない魅力を感じたという。

「弊社の運営している商業施設としては上位に入る広大な敷地と売上規模なので、やりがいはあるはずなのですが、直前に大変な思いをして新規再開発事業を手掛けた直後としては、正直肩透かしをくらったような時期もありました。ただ、この地で生活も続けていくなかで、地元に密着した施設を目指していく方針のもと、だんだんとエンジンがかかってきたかたちになります。」

 

地元民の愛の証が見守る「栃木初」の活動

そんなおやまゆうえんハーヴェストウォーク、もともとは、かつて半世紀にわたり北関東を代表する遊園地として人々に親しまれつつも、惜しまれながら2005年に閉園した遊園地「小山ゆうえんち」の跡地を再開発するかたちで2007年に建設された。メリーゴーランドやコーヒーカップなど、小山ゆうえんちが地元に愛されてきた証が随所に残されている。

「優・縁・地」「〜Shopping in the park〜」をキャッチフレーズに、まるで公園のなかでお買いものを楽しんでもらおうという狙いのもと、2014年、そして2017年にリニューアルを実施。現在では自治体や地元の企業、教育機関と連携し、多様なイベントを企画・実行していると語る。

「ハーヴェストウォークはもとい、栃木、そして北関東がこれまでにやったことのない企画をつねに考え、自治体や地元の企業、学校との連携をより深く意識した活動に注力しています。たとえばですが、栃木県内の商業施設として初の生オレンジジュースIJOOZの導入、栃木県初となったこども服の無料譲渡会、そして全国TOP5に入る規模で展開する「3COINS+plus(スリーコインズプラス)」の誘致など…。いつ来ても新しい刺激があり、そして住民の憩いの場となるよう、今でも現在進行形で試行錯誤の毎日です。」

 

「言われたことは、全力で」

「これからの時代は前途多難だと思います。でも、僕自身はワクワクしています。」そう語る所長のことばには、ただの理想論ではなく、自らの経験に裏打ちされた確かな説得力があった。

「言われたことを全力でやってみる。それだけで新しい道が自然と広がります。たとえ一見すると畑違いの経験だったとしても、その経験は必ず次の道で活きてくるものなんです。」と語る彼の姿からは、自らのキャリアのなかでその言葉を体現してきた確信が見て取れる。

インタビュー風景

そしていろんな人と関わり、考え方や知識、アイデアを吸収すること、とくに若い時期にたくさんのインプットを得ることが、未来を形づくる基盤になると語る作元所長。それは単なる知識ではなく、人とのつながりや多様な視点を通じて深められる学びだと彼は力説する。

「挑戦を恐れず、一つひとつの経験に誠実に向き合うこと。そして、人とのつながりを通じて新しい価値を見つけること。それが未来を切り拓く力に、必ずなります。」彼の言葉に込められているのは、若者への期待とエール。挑戦を楽しむ心を忘れない限り、道はどこまでも広がるのだ。